医療・美容コラム

当院では「傷」の治療を保険診療中心で行っています ーきれいに治す、傷跡を残さないためにー

当院では、日常のささいなケガから深い切り傷、咬み傷まで、幅広い「傷」の治療を保険診療を基本として行っています。

「小さな傷だから…」「自宅で様子を見ようか…」と迷われる方も多いですが、適切なタイミングで専門医による処置を受けることで、傷の治りが早くなり、きれいに治る可能性が高まります。

当院では、患者様の生活なども考慮し、見た目や機能に配慮した治療方針をご提案しています。

必要に応じて、局所麻酔を用いた日帰り縫合手術や、傷が治った後の傷跡ケアのご相談も承ります。

まずは、どんな傷の種類があるのか、どのような場合に受診が必要なのかをご説明していきます。

傷治療の費用について

当院では、「傷」の治療は基本的に保険診療の範囲内で行っております。

治療内容によっては診療報酬点数が決められており、例えば切り傷などで縫合が必要な場合は以下のように分類されます(令和6年度 診療報酬点数基準)。

部位大きさ点数
創傷処理筋肉に達しないもの5cm未満約1400点
筋肉に達しないもの5cm以上10cm未満約3230点
筋肉に達するもの5cm未満約530点
筋肉に達するもの5cm以上10cm未満約950点

※傷の深さによって、保険点数が変わります
※別途、初診料や検査費用(必要な場合)がかかります

当院では、治療開始前に診療内容や費用についてしっかりご説明し、ご納得いただいた上で治療を進めています。

また、保険診療の仕組みや診療報酬点数の計算例について詳しく知りたい方は、日本医師会公式ページもぜひご参照ください。

万が一、保険外診療(自由診療)のご提案が必要になるケースがあった場合も、事前にしっかりとご相談いたしますので、安心してお越しください。

そもそも「傷」とは?

日常生活では、転倒、刃物、針、動物との接触など、さまざまな場面で「傷」が生じます。

医療的には、これらの外傷は傷の種類や深さによって分類され、最適な治療方針が決まります。

以下に、傷の代表例とそれぞれの対処法・注意点をご紹介します。

擦過創(すりきず)

ころんだり、どこかにぶつかって皮膚が擦れてできる傷です。

皮膚表面の浅い傷であることが多く、軟膏や創傷被覆材(傷を覆うもの)で治療していきます。
ただし、アスファルトや砂利が傷の中に入りこんでいることがあります。

これらの異物を早めに除去しておかないと、感染を起こしやすくなります。

また、皮膚の下に砂利などの異物が残った状態で治癒してしまうと外傷性刺青(がいしょうせいしせい)といって傷痕が黒っぽく残ってしまいます。

この傷の治療は、まず異物が残らないようにしっかり流水で洗うことです。

自宅で処置する場合にも、よく洗うようにしてください。

その後、しっかり軟膏を塗ってガーゼをあてるか、ハイドロコロイドといわれる保護材を使う等の方法で、傷が乾かないようにしてください。

これを湿潤療法といいますが、傷の治りが早く痕が残りにくいといわれています。

ただし、感染したり、異物が残っている状態でこういった治療を行うと、感染の悪化もおこりえますので、ご自身で処置する際は注意が必要です。

切創(切りきず)

ガラスや包丁など鋭利なもので肌を傷つけると「切りきず」となります。

傷が深い場合は、神経や血管などが切れていることもあるため、手術が必要となることがあります。

紙で切れた場合などの明らかな浅い傷であればご自宅でテープを貼って処置が可能ですが、出血が多かったり、傷が深そうな場合は早めに診察を受けてください。

その際、止血のために指の根元などをしばる方がいらっしゃいますが、傷にはあまり良くありませんので、しばるのではなく、傷か傷より少し身体の中心に近い部位を圧迫するようにしてください。

診察時には、神経や血管が損傷していないか確認し、止血や縫合処置を行います。

指や足など良く動かす部位は縫合しておくほうが傷の治りも早くなります。

刺創(刺しきず)

鉛筆の芯や針など、とがったものが刺さってできる傷で、どこまで深く刺さっているかが重要になります。

刺さったものによっては先端が折れて残っていることもあるので、その場合は摘出します。

また、運悪く、血管や神経に刺さっているような場合には手術が必要になることもあります。

とがったものが刺さったときは、まず良く洗ってください。

刺さったものが汚い時は奥まで洗うことが難しく、感染の危険も高いので、受診していただくほうが安全です。

また、刺さったままの場合は、無理に抜かずにそのまま受診していただく方が、出血も少ないですし、
こちらも診察時に状態が確認できます。

裂挫創(皮膚が裂けてしまったきず)

転倒などで、ある程度強い力がかかり、皮膚が裂けてしまった状態です。

切りきずに比べると、傷が広範囲であったり、傷周辺の皮膚がいたんでいることが多くなります。

この傷は、ご自宅での処置は難しく、早めの受診をお勧めします。

診察では、周辺の皮膚や皮下組織の損傷がどの程度か確認し、損傷がひどい部分は除去することもあります。

また、強い力がかかっているケガであるため、骨折や筋肉損傷を伴うこともあり、その場合は整形外科の受診が必要となります。

傷の状態によって、手術や外用剤など複数の方法をくみあわせて、傷がきれいになるように治療を行います。

咬創(かまれたきず)

ヒトや動物に咬まれた傷です。歯や口内の細菌が傷に付着するため、感染しやすい傷です。

牙が刺さった場合は、見た目よりかなり深くまで傷が及んでいるため、注意が必要です。

飼われているペットに咬まれた場合には、ご自宅で様子を見る方もいらっしゃいますが、可能であれば診察を受けるほうが安心です。

ご自宅で様子を見ていて、万が一痛みや腫れが強くなったときはすぐに受診するようにしてください。

診察時は、十分に洗浄し、抗生剤の内服や点滴を行います。

すでに感染していれば膿を出す処置が必要となることもあります。

上記のケガ・傷はもちろん、そのほかのケガにおいても、少しでも早く治療をすることが、傷の治りの早さ、きず痕の予防につながります。

傷をご自宅できれいに洗うのは痛みも伴いますので、実は難しいことなのです。

受診していただければ麻酔を使用して洗う時の痛みを軽減することも可能です。

ご自身で判断がつかない場合も含め、お気軽に受診してください。自宅処置についてのアドバイスもさせていただきます。

当院からのメッセージ

どんな小さな傷でも、きれいに治すためには最初の処置がとても大切です。

ご自宅での洗浄は痛みを伴い、完全に行うのは難しい場合もあります。

当院では、麻酔を使用した痛みを軽減する処置、形成外科専門医による丁寧な縫合を行っています。

迷ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。小さな傷でもかまいません。自宅処置のアドバイスもさせていただきます。

傷の症状・リスク

「傷」は一見小さく見えても、放置することで以下のようなリスクを伴います。

感染のリスク

傷口から細菌が侵入すると、赤み・腫れ・痛み・熱感が生じ、化膿(うみ)がたまることがあります。特に咬み傷や異物が混入した傷は、感染リスクが高いため注意が必要です。

外傷性刺青(がいしょうせいいれずみ)

砂利やアスファルト片などの異物が傷口に残ったまま治癒すると、皮膚の中に黒っぽく沈着し、いわゆる「刺青」のように見える跡が残ります。

神経・血管の損傷

深い切り傷の場合、皮膚表面だけでなく、その下の神経や血管が損傷している可能性があります。放置すればしびれや感覚異常、循環障害を引き起こすこともあります。

瘢痕(傷跡)や拘縮

傷の治癒後、コラーゲンが過剰に増殖し、ミミズ腫れのような盛り上がり(肥厚性瘢痕やケロイド)ができたり、関節周囲では動きが制限される瘢痕拘縮が生じることがあります。

小児の場合の注意点

小さなお子様は、転倒やぶつけることで顔や頭、関節周囲に傷を作りやすい傾向があります。

特に顔の傷は将来的に目立ちやすいため、早めの受診で形成外科的な丁寧な処置を受けることが、きれいな治癒につながります。

また、子どもは痛みや処置のストレスを強く感じやすいため、当院では麻酔などを用い、なるべく負担の少ない治療を心がけています。

こうしたリスクを最小限に抑えるためには、早期の適切な医療処置が重要です。

特に「出血が止まらない」「ずきずきと痛む」「深い・広い傷」「咬み傷」「異物が入っている」場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

傷の治療の流れ

傷をきれいに、かつ機能的に回復させるためには、単に縫ったり薬を塗ったりするだけではありません。

当院では、患者様の年齢・生活背景・受傷状況を丁寧にヒアリングし、段階的かつ総合的な治療を行っています。

ここでは、来院から治癒までの一般的な流れをご紹介します。

① 初診・診察

まずは医師が患部を診察し、傷の種類・深さ・範囲・感染リスクを評価します。

必要に応じて感覚検査や動きの確認、エコー検査を行い、目に見えない内部損傷(神経・腱・血管・異物残存)の有無を丁寧に確認します。

また、小児や高齢者の場合、生活背景や介護状況、家庭管理の負担なども考慮し、治療計画を立てます。

② 治療方針の説明と同意

診察結果を基に、患者様またはご家族に対して、治療内容・治療期間・費用についてわかりやすくご説明します。

傷の治療は見た目(整容性)と機能の回復の両方が重要です。形成外科専門医が、最適な治療法を一緒に選択していきます。

③ 処置・治療

軽症の場合は、洗浄・軟膏処置・創傷被覆材の貼付を行います。

縫合が必要な場合は、局所麻酔を使用し、痛みを軽減しながら丁寧に縫合。傷んだ組織を除去したり縫い方を工夫することで、傷跡の目立ちにくい仕上がりを目指します。

感染リスクが高い咬傷や刺入傷、すでに化膿がある場合は、抗生剤の内服・点滴、場合によっては切開排膿処置を実施します。

また、必要に応じて整形外科や脳神経外科と連携し、皮膚以外の損傷(骨折・神経損傷など)も含めた総合的な治療を行います。

④ アフターケア・経過観察

傷の治癒過程では、消毒・ガーゼ交換・創傷被覆材の交換、縫合部位の確認、抜糸といった段階的なケアが必要です。

当院では、患者様の生活スタイル(仕事・学業・家事育児)に配慮し、通院スケジュールを柔軟に調整します。

傷が治癒した後も、瘢痕(はんこん)や肥厚性瘢痕、ケロイドなどが残る場合には、追加の瘢痕治療をご提案します。

レーザー、ステロイド注射、外用薬、必要に応じて瘢痕切除手術など、患者様一人一人に合わせた治療プランを組み立てます。

患者様へのメッセージ

私たちは、治療の「その場限り」ではなく、患者様のその後の生活や見た目の満足度、機能回復までを大切にしています。

小さな傷であっても、繰り返し化膿したり、傷跡が目立ったりすると、大きな悩みや不安につながることがあります。

少しでも心配なことがあれば、どうぞ安心してご相談ください。私たちが全力でサポートいたします。

傷治療について、よくある質問(Q&A)

基本的に、どんな小さな傷でも受診を迷う必要はありません。
特に次のような場合は早めの受診を強くおすすめします

・出血が止まらない
・傷が深そう、広範囲に及んでいる
・異物が入っている、汚れている
・咬まれた(動物・人)
・関節近くや顔など、目立つ場所の傷

ご自宅での処置が難しい場合や、自己判断に迷った場合は、まずはご相談ください。

傷が皮膚の深い層(真皮層)まで及んでいる場合は、自然治癒を待つだけでは傷跡が残ったり、治癒に時間がかかったりします。

縫合処置を行うことで傷を適切に閉じ、治癒を早め、傷跡を目立ちにくくすることが可能です。特に顔や指などの部位は、整容性・機能性の両方を考慮し、形成外科的な縫合をおすすめします。

もちろんです。当院では小児の傷の診療も数多く行っています。

子どもは痛みや処置の不安を感じやすいため、局所麻酔や柔らかい対応を用い、できる限り負担を軽減した治療を心がけています。

家庭管理の負担や学校・園生活への影響も考慮し、治療計画を立てますので安心してご相談ください。

多くの傷の治療は保険診療の範囲内で対応可能です。診療報酬点数に基づき、縫合の部位・長さ・深さによって料金が異なります(※詳しくは日本医師会公式ページも参照ください)。
自由診療が必要な場合は、事前に必ずご説明・ご相談いたします。

基本的に、その場での洗浄・縫合・処置が可能です。ただし、特殊な検査や手術が必要な場合、感染の進行具合によっては後日改めて対応することもあります。

可能な限り迅速な対応を心がけていますので、まずは受診の際にご相談ください。

最後に

当院では、患者様が安心して相談・受診できる環境づくりを大切にしています。
どんな小さな疑問でも、ぜひお気軽にお声がけください。

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