「肌がかゆいが、何を塗れば良いかわからない」「最近肌がかさつく」「虫に刺された」
皮膚のトラブルはしょっちゅう起こります。
これらの皮膚トラブルの中でも「湿疹」はよく耳にされると思いますが、皮膚の炎症を表す言い方でその原因や治療法は様々です。
「湿疹」について、ご自宅でのケアも含めてご説明します。
湿疹は、花粉や薬剤などの外的(環境的)要因と、アレルギーや肌質・体調などの内的要因が複雑にからみあって、
皮膚が炎症を起こしている状態と考えられています。
この炎症が「かゆみ」をひきおこします。
繰り返し掻いて「かきこわし」を起こしてしまうことで、範囲が広がったり、じゅくじゅくしてしまったりと、
湿疹はどんどんと悪化します。
ですので、湿疹の原因を見極めると同時に、この「かゆみ」を抑えることが治療としては非常に重要になります。
ただ、原因については、先に述べたように様々な要因が絡んでいるため、残念ながらはっきりと特定できないこともあります。
皮膚が赤くなったりカサカサやザラザラといった皮膚表面の変化があり、かゆみがでます。
丘疹(きゅうしん)(小さなプツプツ)ができることもあります。
悪化すると、浸出液がでたり(じゅくじゅくする)、水疱(水ぶくれ)ができます。
さらに放置していると苔癬化(たいせんか)(皮膚が硬くゴワゴワする)したり、色素沈着を起こしてしまいます。
できるだけ早い段階で治療を開始するようにしましょう。
原因や特徴によって、特定の病名がついているものがあります。
何かにあたった部分が、その異物による刺激やアレルギーによって炎症をおこしている状態です。
湿布やテープによる「かぶれ」や、金属アレルギーといったものが一般的です。
「手湿疹」も多くは接触皮膚炎にあたります。
診察時に、部位が限局していたり原因が分かりやすいものもありますが、「パッチテスト」といって、
可能性があるものを皮膚に塗布してみて原因物質を特定する検査方法があります。
頭皮やわきなど皮脂の分泌が多い部位にできやすく、初期は皮膚が赤くなり、
カサカサと皮膚がはがれたもの(落屑(らくせつ))が見られることが多いです。
頭皮では、シャンプーなどの洗い残しによりみられることもあります。
マラセチアという真菌(カビ)が潜んでいることがあります。
加齢などが原因で皮膚が乾燥しやすくなると、皮膚の表面のバリアが弱くなり、湿疹ができやすくなります。
いわゆる「粉をふいた」状態の皮膚は保湿をしっかりして湿疹になるのを予防しましょう。
決まった部位(ひざ裏や肘、首など)に比較的左右対称に湿疹が出現し、改善と増悪を繰り返します。乾燥肌とアレルギーが関係しているといわれています。慢性化しやすく、皮膚が硬くなったり、痒みも強くなる傾向にあります。
湿疹に対する治療と同じステロイドや抗アレルギー剤などが使用されますが、アトピーに特化した治療法(免疫抑制剤など)も確立されてきています。他にも、下肢静脈瘤の人にみられるうっ滞性皮膚炎や乳児湿疹、汗疹(あせも)などがあります。
重要なことは、この2つです。
・原因物質が分かっている場合はそれを取り除くこと
・「掻かない」こと
掻いてしまうと、状態が悪化し治りにくくなりますし、色素沈着も起きやすくなります。「かゆみ」は皮膚の炎症により起きているため、まずは炎症を落ち着かせます。主に使われているのはステロイド外用剤となります。
ステロイドはその効き目の強さから5種類に分けられますが、皮膚炎の状態にあったステロイドを選択することが重要です。
ただし、原因や体質によって効果にも差がでるため、複数の種類のステロイドを選択する場合もあります。
ステロイドの副作用を気にする方もいらっしゃいますが、適切に使用することで早く炎症を抑えることが出来、結果的に皮膚の状態の改善につながるので、あまり怖がらなくても大丈夫です。不安があるようなら、医師になんでもおたずねください。
ステロイドにより炎症が落ち着くまでにかゆくてかいてしまう場合には、抗アレルギー剤の内服を行い、かゆみを抑えることもあります。とくに、寝ているときは無意識に掻いてしまいますし、就寝中のみ服用を希望される方もいらっしゃいます。
湿疹の原因となるものがわかっている場合はそれを出来るだけ取り除きましょう。
また、皮膚のバリアをしっかり作ることで湿疹ができにくくなりますので、日常的に保湿を心がけるようにしてください。
湿疹を繰り返しているようであれば、生活習慣についても改善出来る部分がないか見直してみてください。
それでも、湿疹ができてしまった場合は、掻かないようにしながら、早めに皮膚科の診察を受けるようにしましょう。