「唇のあたりに小さな水ぶくれができて痛い」
「ピリピリとした違和感がある」——
それはもしかすると単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされる「ヘルペス」かもしれません。
ヘルペスは、一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、疲れやストレス、体調不良をきっかけに再発を繰り返すことがある厄介な皮膚疾患です。
口唇にできるものが一般的ですが、目のまわりや性器、四肢などに症状が出ることもあります。
「自然に治るから放っておこう」と思ってしまいがちですが、早期の治療によって症状を軽く抑えたり、再発の頻度を下げたりすることが可能です。
この記事では、ヘルペスの基礎知識から症状、原因、予防法、当院での診断・治療方針までをわかりやすく解説します。
ヘルペスの治療は、保険診療の対象となります。
皮膚症状や再発の頻度に応じて、抗ウイルス薬(バラシクロビル、アシクロビルなど)の内服薬や外用薬が処方され、いずれも健康保険でカバーされます。
発症初期に内服することで、症状の進行を防ぎ、治癒を早める効果が期待できるため、少しでも早く皮膚科を受診することが推奨されます。
また、再発を繰り返す場合には「再発抑制療法(予防的内服)」が提案されることもありますが、これも原則として保険適用の範囲内で対応可能です。
美容目的や特殊な自由診療薬が必要となるケースはほとんどありませんので、安心して受診・治療を受けていただけます。
ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス(HSV)によって引き起こされるウイルス性感染症で、特に口唇や顔まわり、性器、目の周囲などに症状が出やすい病気です。
ウイルスは、一度感染すると神経節という場所に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して再発を繰り返すという特徴を持っています。
口元にできる「口唇ヘルペス」がよく知られていますが、症状が出る部位によっては「性器ヘルペス」や「眼ヘルペス」と呼ばれることもあります。
ヘルペスは非常にありふれた感染症であり、日本人の多くが子どもの頃に一度は感染を経験しているとされています。
多くの場合は軽症で自然に治癒しますが、再発を繰り返すタイプの場合は適切な対処が重要です。
ヘルペスの症状は、感染した部位に現れる赤み・痛み・水ぶくれが特徴です。
中でも代表的なのは口唇ヘルペスで、唇のまわりや鼻の下、あごなどに小さな水ぶくれが集まり、ピリピリ・チクチクとした違和感や痛みを伴います。
初期症状としては、皮膚の違和感やかゆみ、軽い熱感が数日前から現れ、その後、複数の小さな水ぶくれが出現します。
水ぶくれは次第に破れてかさぶたとなり、通常1〜2週間ほどで自然に治癒します。
ただし、ヘルペスは一度治っても、ウイルスが体内に潜伏しているため、ストレス・疲労・風邪・紫外線・月経などをきっかけに再発することがあります。
再発時は初回よりも軽いことが多いものの、同じ場所に繰り返し症状が出るのが特徴です。
また、免疫が低下している人では、症状が強く出たり、体の広い範囲に広がることもあります。
ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルス(HSV)というウイルスです。
HSVには主に「1型(HSV-1)」と「2型(HSV-2)」の2種類があり、口唇ヘルペスは1型、性器ヘルペスは2型によって引き起こされることが一般的です。
感染経路は、皮膚や粘膜の接触、唾液、性行為などで、ウイルスが傷口や粘膜から体内に侵入することで感染します。
多くの人が子どもの頃にHSV-1に感染しており、感染後はウイルスが神経節に潜伏し、免疫力が落ちたときに再活性化して症状を引き起こします。
再発のきっかけとなるのは、以下のような体調や環境の変化です
・発熱や風邪
・疲労や睡眠不足
・強いストレス
・紫外線(特にスキー場や海辺など)
・月経前後のホルモン変化
つまり、「体の防御力(免疫力)が下がったとき」に再発するというのが、ヘルペスの大きな特徴です。
ヘルペスの予防で最も大切なのは、免疫力を低下させない生活習慣を意識することです。
ヘルペスウイルスは一度感染すると体内に潜伏し、疲れやストレス、風邪などをきっかけに再発します。そのため、発症を防ぐには日頃からの体調管理が重要です。
・十分な睡眠とバランスの取れた食事
・過度なストレスを避けるための工夫(適度な運動やリラックス)
・強い紫外線を避ける(リップクリームや日焼け止めの活用)
・乾燥を防ぐスキンケア(唇や周囲をこまめに保湿)
また、再発頻度が多い方や重症化しやすい方には、医師の判断で抗ウイルス薬による予防内服が提案される場合もあります。
発症の前兆として「ピリピリ・チクチク」などの違和感を感じたときは、早めに皮膚科を受診し、内服治療を開始することで症状を最小限に抑えることも可能です。
当院では、ヘルペスの診断にあたって、症状の経過や患部の視診をもとに判断します。
特に「繰り返し口元に水ぶくれが出る」「ピリピリとした痛みの後に赤く腫れる」といった特徴的な訴えがある場合、ヘルペスを疑う根拠として十分です。
問診では、発症頻度・きっかけ・既往歴・体調の変化なども丁寧にうかがい、症状のタイプに応じた治療につなげていきます。
「これってヘルペスかも?」と思ったときは、自己判断せず、なるべく早く皮膚科を受診することが早期回復のカギです。
当院では、症状が出始めたそのタイミングでも診察・診断が可能ですので、お気軽にご相談ください。
当院では、ヘルペスの症状や再発頻度に応じて、最適なタイミングと方法で抗ウイルス薬を用いた治療を行っています。
ヘルペス治療の基本は、抗ウイルス薬の内服です。
代表的なものに「アシクロビル」「バラシクロビル」などがあり、発症初期に内服を始めることで症状の進行を抑え、回復を早める効果が期待できます。
水ぶくれができてからよりも、「ピリピリとした違和感が出た時点」で内服を開始するのが理想的です。
また、皮膚症状が軽い場合や患者さまのご希望によっては、抗ウイルス成分を含んだ軟膏のみで対応するケースもあります。
繰り返し発症する方には、「再発抑制療法(予防内服)」として、一定期間の内服を続ける治療法もご案内しています。
患者さまの生活スタイルやご不安に寄り添いながら、負担の少ない現実的な治療プランをご提案しています。
ヘルペスは、症状がつらいだけでなく、「また再発するのでは…」という不安がつきまとう病気です。
当院では、そうした患者さまの不安に寄り添いながら、再発を予防し、安心して過ごせるような診療体制を整えています。
「こんなことで受診してもいいのかな」と遠慮される方もいらっしゃいますが、ヘルペスは“軽いうちに対処する”ことがとても大切です。
症状のご相談はもちろん、「再発の頻度が気になる」「今後どう付き合っていけばよいか知りたい」といったことも、お気軽にご相談ください。
治療だけでなく、日常生活の注意点やスキンケア、紫外線対策など、再発を減らすためのアドバイスも丁寧にお伝えしています。
患者さまの症状と生活スタイルに合わせた、無理なく続けられるケアと治療を一緒に考えてまいります。