「肌が乾燥して、カサついて皮がむけたり、かゆい」
「肌がブツブツ、ざらざらとしたり、ゴワゴワと固い」
「湿疹や吹き出物ができてしまった」
このような「肌荒れ」を誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
肌荒れはかゆみや痛み、そして「どうして治らないのだろう」という不安やストレスを引き起こします。症状が酷いと見た目も気になってしまいます。
肌荒れには様々な症状があり、原因も多種多様です。
乾燥や季節の変わり目、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、そして間違ったスキンケアなど、さまざまな要因が絡み合っています。
それだけに、自己流でケアしてもうまくいかず、かえって悪化してしまうこともあるので注意が必要です。
この記事では、肌荒れの原因を明らかにし、医師の視点から、肌を健康に保つための具体的なケア方法と治療法を詳しくご紹介します。
この記事を読んでいただければ、「肌荒れは治るもの」「もっと早くクリニックに相談すればよかった」と思っていただけるはずです。
「肌荒れ」は、肌が本来持つバリア機能が低下し、乾燥や炎症、赤み、かゆみなどのトラブルが起こってしまった状態を指します。
肌荒れは放置すると悪化する可能性があるため、早期のケアが大切です。
冒頭にもいくつか紹介しましたが、肌荒れといっても症状は様々です。
まずは、肌荒れの主な症状をみていきましょう。
肌が水分を失い、表面が白く粉を吹いたようになる状態です。これにより、皮膚がつっぱる感じやかゆみを伴うこともあります。
頬やおでこ、あごなどに赤みが出て、触ると熱っぽく感じることもあります。肌のバリア機能が低下しているサインです。
小さな湿疹や吹き出物ができ、悪化すると痛みやかゆみを伴う場合があります。
古い角質が溜まり、肌が硬くざらざらとした状態になります。ターンオーバーの乱れが原因のひとつです。
今までは気にならなかった化粧品がしみる、少しの摩擦でも赤くなるなど、外部刺激に敏感になっている状態です。
肌荒れは症状が重くなければ、つい放ってしまいがちですが、きちんとケアしなければいつまで経ってもよくならなかったり、気が付いた時には重症化してしまっていた、などが起こりえます。実際にクリニックで診察をしているとこのような患者さんがいらっしゃいます。
「そのうち治るだろうと思ったら、どんどん広がってきた。」
「知らない間に掻いていて腫れてきた」
毎日のようにこのような患者さんがいらっしゃいます。
家にある薬を塗ってみたが治らなかったという方も多くいらっしゃいます。
また、ただの肌荒れと思って受診したら、自己免疫疾患や内臓の病気が原因だった、ということもあります。
今は、いろいろな情報を簡単に手に入れられるので、肌荒れについても検索すれば情報が得られると思います。ただ、その情報が正しいかどうかしっかりと吟味し、少しでも不安や違和感があれば、早めに皮膚科を受診しましょう。
肌荒れを引き起こす原因は、一つではありません。複数の要因が重なって肌荒れを引き起こしていることは珍しくなく、それだけにケアの仕方が難しいです。
肌荒れの原因は、大きく2つに分けられます。体の内面から起こるもの(内的要因)と体の外側からの影響で起こるもの(外的要因)です。
思春期、妊娠、出産、更年期といったホルモン変動期には、肌荒れが悪化しやすくなります。
ストレス、睡眠不足、栄養不足、暴飲暴食が肌のターンオーバーを乱し、トラブルを招きます。嗜好品の接種も肌荒れの原因になりやすいといわれています。
体力が落ちていたり、忙しくて休息をしっかりとれていなかったりすることで、皮ふの免疫力も低下し、肌荒れが起きやすくなります。
肌が本来持つ潤いが不足し、バリア機能が低下することで肌荒れを引き起こします。季節の変化や空調による影響も大きいです。
不適切なスキンケア、洗顔時の強い摩擦、合わない化粧品などが強い刺激となり、肌荒れの原因となります。
紫外線、花粉、PM2.5などの外部要因も肌荒れの引き金になります。
肌荒れを予防するためには、日々の生活習慣やスキンケアを見直すことが大切です。以下では、具体的な方法をご紹介します。
肌荒れ予防に最も重要なのが、保湿ケアです。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、外部刺激に弱くなります。
セラミドやヒアルロン酸など、保湿成分が豊富な化粧品を選びましょう。敏感肌用の商品なら、刺激を抑えつつ潤いを与えられます。
洗顔後や入浴後、肌が乾ききってしまう前に保湿剤を塗布することがポイントです。肌に水分が残っている状態で塗ると、浸透しやすくなります。
肌荒れを防ぐためには、日常的に肌に負担をかけないことが重要です。
ゴシゴシこするのではなく、たっぷり泡立てた洗顔料で顔を包むように洗い、ぬるま湯でしっかりすすぎます。
熱いお湯は避け、洗顔後はタオルで擦るのではなく、押さえるように水気を拭き取りましょう。
アルコールや香料が含まれた化粧品は避け、肌に優しい成分が含まれるものを選びます。
紫外線は肌荒れの原因になるだけでなく、肌の老化やシミの原因にもなります。
晴れの日だけでなく、曇りの日や室内でも紫外線は存在します。SPFやPAの値が適切な日焼け止めを選び、2~3時間ごとに塗り直すことを心掛けましょう。
日傘や帽子やサングラス、UVカット素材の衣類で紫外線から肌を守るのも有効です。最近では日焼けをある程度抑えてくれるサプリメントも豊富です。
環境による肌荒れを防ぐには、以下の対策が効果的です。
冬場やエアコンを使用する際は、加湿器で室内の湿度を50~60%に保ちましょう。
花粉が多い季節やPM2.5が問題となる日は、マスクを着用し、帰宅後は洗顔で顔を清潔に保つことが大切です。
体の内側から肌荒れを予防するために、以下の点を意識しましょう。
ビタミンA、C、E、亜鉛などの栄養素を含む食品を積極的に摂りましょう。適度な野菜や果物、ナッツ、魚介類の接種は肌の健康に役立ちます。
ターンオーバーが活発になるのは夜間です。睡眠不足は肌の再生を妨げるため、毎日7~8時間の睡眠を確保しましょう。
ストレスはホルモンバランスを乱し、肌トラブルを引き起こします。リラックスできる趣味や運動を取り入れることがおすすめです。
色々と難しいことを書いていますが、これらを守ろうとしてストレスを感じては元も子もありません。
この中で今の生活から変えられそうなことを少しずつ取り入れてみましょう。
自己ケアだけでは不十分な場合、クリニックでの専門的なケアを受けることで、より効果的に肌荒れを防ぐことが可能です。以下は、クリニックで提供される主な予防方法です。
肌荒れの原因は人それぞれです。医師による専門的な診断を受けることで、自分の肌状態に合ったケア方法や治療法を知ることができます。
たとえば、乾燥が原因なのか、アレルギーやホルモンバランスの乱れが関与しているのかを、日常生活について問診を重ねながら判断していきます。
市販の化粧品が肌に合わない場合、クリニックでは医療用スキンケア商品を紹介することができます。これらは高濃度の有効成分を含み、肌への負担が少ないため、より安全かつ効果的です。
また、市販の化粧品についても、肌の状態にあった商品についてご提案させていただくことが可能です。
症状の予防や改善を目的として、内服薬(ビタミン剤、漢方薬など)や外用薬(保湿クリーム、抗炎症剤など)が処方されます。
特に、敏感肌やアレルギー性肌荒れの場合は、適切な薬を使用することで症状が抑えられます。ご希望の方にはサプリメントもご提案します。
クリニックでは、保湿治療(イオン導入や超音波導入など)やケミカルピーリングなど、肌のターンオーバーを促進する治療も行えます。
これにより、肌の調子を整えるだけでなく、予防効果も期待できます。
肌荒れがアレルギーによるものの場合、アレルゲンを特定することで、避けるべき物質や食材が明確になります。クリニックでのアレルギー検査は、原因を解明し、適切な予防策を講じるために有効です。
医師が食事や睡眠、運動など生活習慣の見直しについてアドバイスを行います。特に、仕事や育児で忙しい方にとって、無理なく実践できる方法を提案してもらえるのは心強いポイントです。
かゆみ・痛みなどの症状、また症状が出現したタイミング、皮ふの状態、など総合的に判断して診察を行います。
皮ふは最も外的刺激を受ける部位であるため、はっきりとした原因がわからないこともあります。
そういった場合でも、症状を改善し、不安を減らすように顕微鏡検査や採血など、適切な検査を行います。
肌荒れの原因が多岐にわたるため、治療法も色々とあります。それでも基本的には外用薬と内服が主な治療法です。
それらの薬も間違った塗り方や飲み方をすると、効果がなくなってしまいますので、外用薬の塗り方や内服のタイミングなども丁寧に説明させていただきます。
肌は毎日目にするものですし、外的刺激が直接加わる部分です。そのため、その肌が荒れてしまうと、それだけでかゆみや痛みといったストレスを感じます。
早めに受診してそういったストレスを減らし、快適な日常生活を取り戻しましょう。