眼瞼下垂は上まぶたが下がってくることで、眼を開けづらくなっている状態です。眼の真ん中の黒い部分(瞳孔)に上まぶたがかぶってしまうと、ものを見るときに邪魔になります。そのため、見えづらくなり、おでこの筋肉(前頭筋(ぜんとうきん))を使って眼を開けようとするために肩こりや頭痛につながることもありますし、おでこのしわが増えることもあります。
眼瞼下垂は先天性、後天性、偽性の3種類に分けられます。
生まれつき上まぶた(上眼瞼といいます)をあげる筋肉(眼瞼挙筋(がんけんきょきん))の働きが弱く、眼をしっかり開けられません。片側に起こることが多く、両側の場合も左右差があります。視力への影響もあり、眼科医と連携して治療時期を見極め、前頭筋つり上げ術といわれる手術を行います。自分の太ももの筋膜や人工組織を使い、まぶたと前頭筋をつなぐことで、働きの弱い眼瞼挙筋の代わりに前頭筋(おでこの筋肉)を使って目を開けられるようにする方法です。
年齢とともに徐々に上まぶたが上がりにくくなるもので、原因としては眼瞼挙筋(がんけんきょきん)腱(けん)膜(まく)と呼ばれる部分がゆるんでしまう腱膜性眼瞼下垂症と呼ばれるものがほとんどです。眼瞼挙筋腱膜は加齢やコンタクトレンズの長期使用、眼をこすることなどでゆるむと考えられています。ただ、脳梗塞などによる神経麻痺や重症筋無力症といった疾患が潜んでいることもあるため、他院を受診していただくこともあります。腱膜性眼瞼下垂症に対しては、『眼瞼挙(がんけんきょ)筋前転術(きんぜんてんじゅつ)』といわれる方法で眼瞼挙筋や眼瞼挙筋腱膜をしっかりとまぶたの硬いところ(瞼板(けんばん))に縫い付ける手術を行います。筋肉の力がほとんどない場合は、先天性の場合と同様に代用組織の移植が必要となります。
上まぶた自体には問題がないのに下がったように見える状態です。まぶたの皮膚がゆるんで垂れてくる皮膚弛緩症の他に、眼の周りの筋肉が痙攣したり(眼瞼けいれん)、周囲の組織の委縮による眼球陥凹などがみられます。このうち、皮膚弛緩症に対し、眉毛の下や二重の線にあわせて余った皮膚を切り取る『余剰皮膚切除術』を行います。
当院では日帰りの局所麻酔手術で、『眼瞼挙筋前転術』、『余剰皮膚切除術』を主に行っております。当院での手術適応ではない場合にも、提携病院にご紹介させていただきます。「眼瞼下垂かな?」「最近目が疲れやすいな」、などちょっとした悩みでもお気軽にご相談ください。
なお、整容面の問題のみと医師が判断した場合は自費治療となることがありますのでご理解・ご了承いただければ幸いです。
・術当日から翌日にかけて安静にし、しっかりと冷やしてください。
・術後1週間程度で抜糸します。運動や飲酒は抜糸まで控えてください。
・腫れや内出血は個人差はありますが、数週間続きます。傷や見た目が落ち着くには半年ほどかかります。
・目を開けやすくなるためにドライアイが悪化する可能性があります。
当院では眼瞼下垂症の他にも眼瞼の手術を多数経験した医師(院長)が手術を行います。まぶたの構造をしっかり理解していますので、眼瞼の形や幅も考慮して、手術方法を検討させていただきます。
眼は顔の印象を決める大事な部位なので、手術も慎重に行っております。ただし、もともと顔には左右差がありますので、左右の眼の形を全く同じ状態にすることはできませんので、その点はご了承ください。