傷・傷跡

「傷・傷跡」について

きず・ケガ

「子供がころんでケガをしたが、痕が残るのだろうか。診察を受けた方が良いのかな」

「指を切って血が出ているけど、どこで診てもらおう」

日常の中で、誰もがケガをすると思いますが、よほどのケガでない限り、どこを受診して良いかわからず、
自宅で処置して終わらせたりする方も多いのではないでしょうか。

傷やケガを早く、きれいに治すには最初にしっかりとした治療をうけることが大切です。
当院は形成外科を専門としており、こういった日常の擦り傷や切り傷に対し、なるべくきれいに治るような治療を行います。

きず痕

傷は、治癒するときにコラーゲンを大量に作ります。

傷が治癒したあと、これらのコラーゲンは徐々に減少しますが、完全に消えることはなく、
これが「きず痕」として残ります。

医学的にはこのきず痕を「瘢痕(はんこん)」と呼び、いくつか種類があります。

「傷・傷跡」の症状・原因

○「傷」の症状・原因

ケガは外傷と呼ばれ、その傷の状態によって分類されます。
日常生活でよく遭遇する傷について治療方法とともにご説明します。

擦過創(すりきず)

ころんだり、どこかにぶつかって皮膚が擦れてできる傷です。

皮膚表面の浅い傷であることが多く、軟膏や創傷被覆材(傷を覆うもの)で治療していきます。
ただし、アスファルトや砂利が傷の中に入りこんでいることがあります。

これらの異物を早めに除去しておかないと、感染を起こしやすくなります。

また、皮膚の下に異物が残った状態で治癒してしまうと外傷性刺青(がいしょうせいしせい)といって
傷痕が黒っぽく残ってしまいます。

この傷の治療は、まず異物が残らないようにしっかり流水で洗うことです。

自宅で処置する場合にも、よく洗うようにしてください。
その後、しっかり軟膏を塗ってガーゼをあてるか、ハイドロコロイドといわれる保護材を使う等の方法で、
傷が乾かないようにしてください。

これを湿潤療法といいますが、傷の治りが早く痕が残りにくいといわれています。
ただし、感染したり、異物が残っている状態でこういった治療を行うと、感染の悪化もおこりえますので、
ご自身で処置する際は注意が必要です。

切創(切りきず)

ガラスや包丁など鋭利なもので肌を傷つけると「切りきず」となります。

傷が深い場合は、神経や血管などが切れていることもあるため、手術が必要となることがあります。

紙で切れた場合などの明らかな浅い傷であればご自宅でテープを貼って処置が可能ですが、
出血が多かったり、傷が深そうな場合は早めに診察を受けてください。

その際、止血のために指の根元などをしばる方がいらっしゃいますが、傷にはあまり良くありませんので、
傷か傷より少し身体の中心に近い部位を圧迫するようにしてください。

診察時には、神経や血管が損傷していないか確認し、止血や縫合処置を行います。
指や足など良く動かす部位は縫合しておくほうが傷の治りも早くなります。

刺創(刺しきず)

鉛筆の芯や針など、とがったものが刺さってできる傷で、どこまで深く刺さっているかが重要になります。
刺さったものによっては先端が折れて残っていることもあるので、その場合は摘出します。
また、運悪く、血管や神経に刺さっているような場合には手術が必要になることもあります。

とがったものが刺さったときは、まず良く洗ってください。
刺さったものが汚い時は奥まで洗うことが難しく、感染の危険も高いので、受診していただくほうが安全です。
また、刺さったままの場合は、無理に抜かずにそのまま受診していただく方が、出血も少ないですし、
こちらも診察時に状態が確認できます。

裂挫創(皮膚が裂けてしまったきず)

転倒などで、ある程度強い力がかかり、皮膚が裂けてしまった状態です。
切りきずに比べると、傷が広範囲であったり、傷周辺の皮膚がいたんでいることが多くなります。

この傷は、ご自宅での処置は難しく、早めの受診をお勧めします。

診察では、周辺の皮膚や皮下組織の損傷がどの程度か確認し、損傷がひどい部分は除去することもあります。
また、強い力がかかっているケガであるため、骨折や筋肉損傷を伴うこともあり、その場合は整形外科の受診が必要となります。

傷の状態によって、手術や外用剤など複数の方法をくみあわせて、傷がきれいになるように治療を行います。

咬創(かまれたきず)

ヒトや動物に咬まれた傷です。歯や口内の細菌が傷に付着するため、感染しやすい傷です。
牙が刺さった場合は、見た目よりかなり深くまで傷が及んでいるため、注意が必要です。

飼われているペットに咬まれた場合には、ご自宅で様子を見る方もいらっしゃいますが、
可能であれば診察を受けるほうが安心です。

ご自宅で様子を見ていて、万が一痛みや腫れが強くなったときはすぐに受診するようにしてください。

診察時は、十分に洗浄し、抗生剤の内服や点滴を行います。
すでに感染していれば膿を出す処置が必要となることもあります。

上記のケガ・傷はもちろん、そのほかのケガにおいても、少しでも早く治療をすることが、
傷の治りの早さ、きず痕の予防につながります。

傷をご自宅できれいに洗うのは痛みも伴いますので、実は難しいことなのです。

受診していただければ麻酔を使用して洗う時の痛みを軽減することも可能です。
ご自身で判断がつかない場合も含め、お気軽に受診してください。自宅処置についてのアドバイスもさせていただきます。



○「傷あと」の症状・原因


・成熟瘢痕

きず痕は通常、半年から1年ほどかけて徐々に赤みや硬さが改善します。
この間は皮膚を健康に保ち、紫外線予防をすることで、きず痕が目立ちにくくなります。

この時期を過ぎて、大きな変化が起こらなくなった状態を成熟瘢痕といいます。
色が抜けて白くなることが多いですが、茶色く色素沈着を起こしていることもあります。

・肥厚性瘢痕

きず痕が赤く、ミミズ腫れのように盛り上がってしまう状態です。
深い傷や関節の近くの傷が引っ張られる部位の傷が肥厚性瘢痕になりやすいといわれています。

数年かかって、盛り上がりが減ったり白くなりますが、きず痕としては目立ちますし
後述のケロイドと見分けるのも難しいため、早期に治療を開始したほうが良いと思います。

・ケロイド

きず痕が赤く盛り上がるため肥厚性瘢痕と似ていますが、傷の範囲を超えて大きくなることが特徴です。

また、痛みやかゆみが肥厚性瘢痕よりも強くなります。
体質(遺伝)やできる部位などが関係するといわれています。

・瘢痕拘縮

きず痕がひきつれてしまい、関節が伸ばせなかったり、動かすと痛みがある状態です。
日常生活に影響がある場合は、手術できず痕を切除して皮膚や組織を移植するなどの手術が必要となります。

「傷・傷跡」の治療の流れ

○きず痕の治療方法

きず痕に対する治療は、簡単にわけると、日常生活に支障があるものは保険診療、
見た目が気になる場合は保険外診療(自由診療)となります。

・保険診療

まず、きず痕の反応を抑えるためのステロイドの貼付薬や注射を行います。
合わせて、内服療法を行うこともあります。

市販の商品にも、きず痕を圧迫したり保護することで目立ちにくくなるものが販売されていますので、
それらを活用することもできます。

これらの方法で、改善しない場合には、手術を行いますが、手術も傷を作る行為となるため、
適応は慎重に検討します。また、ケロイドには放射線照射という選択肢もあります。

・保険外療法(自由診療)

きず痕やその周囲にレーザー治療を行うことで、周囲との皮膚色の違いを改善したり、凸凹を改善する方法です。
1回で改善することは少なく、数か月おきに複数回の治療が必要となることが多いです。

きず痕をきれいに消してしまうということは残念ながらできません。
しかし、きず痕は案外痛みや違和感を伴います。これらのお悩みも早めの治療で改善することがあります。
また、上記のように、複数の治療法がありますので、
「目立つから気になるけど、きず痕なんてどうしようもない」と諦める前に、一度ご相談にいらしてください。

当院の「傷・傷跡」治療へのこだわり

形成外科は皮膚縫合を丁寧に行います。そのため、傷の治療の際、きず痕が残りにくい治療を行うことが可能ですし、
きず痕が残ってしまった場合にも、お悩みに寄り添って治療を行います。

きず痕を目立ちにくくする手術が必要な場合も、複数の方法を検討し最適な方法で行います。

また、きず痕の治療は数年かかることが多く、途中で治療を中断すると改善がみられないこともあります。
通院が続けられるように、一人一人の生活に寄り添った提案を心がけております。

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